お子さんの風邪について
1:そもそも風邪って何なの?
2:治療について
3:各種、風邪症状と家庭でのケアについて
今日はお子さんがかかりやすい風邪についてお話していきたいと思います。
風邪は最も奥が深い疾患だなと思っています。
そもそも風邪って何なの?
風邪は、ウイルスや細菌に対する身体の防衛反応です。
くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰などの症状が見られます。これに加えて、発熱・頭痛・全身倦怠感・食欲不振などの全身症状があらわれる場合もあります。
原因はライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど、80?90%がウイルスであり、残り10?20%がマイコプラズマのような細菌類による感染が原因です。
治療について
上記で述べたように基本的にウイルス性の場合が多いです。ウイルス性の際には感染したウイルスを死滅させる薬はありません。自分の免疫力でウイルスを排除して治していきます。
その助けとして鼻水を出しやする、咳を緩和するなどの風邪薬を使います。
基本的に風邪薬は症状をやわらげるお薬で、症状をすぐに止めて治すことのできる薬ではないです。
できるだけ早く治したいという場合には、時として漢方薬も有効なことがあります。ただし、子供にとっては味の問題もあったりしますので相談させてください。
各種、風邪症状と家庭でのケアについて
発熱
発熱は、体内に侵入した病原体をやっつけようとする正常な生体反応です。小児では通常は3?5日続くことも珍しくありません。熱が高いから重症や細菌性というわけではありません。体温よりも、患者さん本人の元気があるか、ぐったりしてしんどそうかどうかが重要です。
しかし、生後3ヶ月未満の赤ちゃんが熱(38度以上が目安)を出した場合は、抵抗力が弱く重症化しやすいので注意が必要になります。
解熱剤の使い方
先にも述べたように熱を出すことで風邪を治そうとしています。一方、熱が高くなるとやはり体がつらくなってきます。
子供で熱が高く、つらくて水分がとれなくなったり、頭が痛くなったりしたときに解熱剤を使用するのが良いです。
もし、39度あっても水分もとれて比較的、元気もあることもあり、このような時は解熱剤は使用せず、水分をしっかりとって休ませてあげてください。
逆に38℃程度でもぐったりして元気もなく、水分も十分とれない、あるいは頭が痛くて眠りたくても眠れないというようなときは解熱剤を使用してみてください。
解熱剤の間隔は6~8時間です。
咳
咳は、口から肺をつなぐ気道のどこかに、かぜのウイルスやほこり等の異物が侵入したとき、その異物を外に出そうとして反射的に起こる自然な防御反応です。
咳が1ヶ月続く場合もあります。特に寝入りばなや寝ているときに多い場合は後鼻漏と言って、鼻水が喉に落ち、痰になって、それが喉の刺激となって咳が出る状況を考えます。その際には鼻水を吸い取り、加湿、保温でたんを出しやすくしましょう。
また、風邪が長引くと鼻汁などの分泌物がネバネバしてきます。これによって鼻水や痰が奥に溜まって副鼻腔炎を起こす場合もあります。
鼻水・鼻づまり
鼻水は、外から鼻腔内にウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに、それを追い出すために出ます。
子どもは大人よりも鼻腔が狭いため、少しの鼻水でも鼻がつまりやすくなってしまいます。乳幼児は、自分では鼻がかめないので、家庭用の鼻吸い器でこまめに吸ってあげてください。当院でも鼻吸いを行っておりますのでお気軽に来院ください。
嘔吐
乳幼児は、嘔吐反射が強く大人に比べて嘔吐しやすい特徴があります。ちょっとした刺激や、咳込んだりしても食べ物などを吐き出してしまいます。また、便秘で吐くこともよく見られます。
嘔吐した後もふだんと変わらず、けろっとしているようなら、そのまま様子を見ていても構いません。ただし、お腹の風邪の場合は何度も繰り返し吐きます。吐き始め3、4時間は何も飲ませず胃腸を休ませてください。嘔吐が続きぐったりして元気がないといった場合はご相談ください。
下痢
乳児はおなかの状態がまだまだ安定していないので、よく下痢をしますが、常に治療が必要という訳ではありません。
排便後もいつも通りおっぱいやミルクを飲み、機嫌が良いようなら心配はいりません。
但し、翌日以降も下痢が治まらず、また、水分が摂れずにぐったりとしているような場合は点滴や入院などの治療が必要となる場合がありますので、ご相談ください。
脱水予防
風邪症状、特に胃腸炎で下痢・嘔吐を繰り返している時は、脱水に気をつけましょう。
嘔吐直後は、口をゆすぐ程度にして、吐き気が強い場合は無理に飲ませず、しばらく腸を休ませしょう。
3、4時間後から、スプーン1杯からはじめ、様子をみながら少量をこまめに飲ませていきましょう。
問題がなければ少しずつ飲ませる量を増やしていきましょう。経口補水液などをこまめに摂取します。
難しい場合は、お茶や水でも構いません。
感染予防
ウイルス性胃腸炎は、ほとんどが下痢便や吐瀉物から手指を介して感染するので、まわりの人の注意が必要です。
特に、赤ちゃんのお尻をふいた後や、吐いたものを処理した場合は、手指にウイルスが大量についていることが多いです。
小まめな手洗いと、タオルを1人づつ分けるなどして感染を予防しましょう。
子供は風邪をひいて、だんだんと体が強くなっていきます。その中で症状などで悩まれるものなどあればいつでもご相談いただければ幸いです。
文責:総合内科専門医 宮内