水疱瘡(みずぼうそう)について
1:水疱瘡(みずぼうそう)って何?
2:症状は?
3:治療は?
4:合併症は?
5:予防法は?
6:水疱瘡と帯状疱疹について
7:妊婦さんへの影響
8:いつから登園できるの?
今回は、水疱瘡について述べていきたいと思います。
水疱瘡ってよく耳にすることが多い疾患だと思います。
水疱瘡(みずぼうそう)って何?
水痘・帯状疱疹ウイルスというウイルスによる発疹症です。
ウイルスは飛んできた咳や唾液などからのどに入り、症状を起こします。
潜伏期間は約2週間ですので、水痘の人と接触して約2週間で発症します。
1~4歳までの子供がかかりやすいですが、10歳までにほとんどの子供が感染するとされています。
症状としては、顔や頭、首周り、胴体にかけて赤みを帯びた発疹が多数出現します。
症状は?
軽いカゼ症状のあとに、水をもった赤い発疹(水泡)が、顔面・体などに2~3個出始め、翌日には全身に広がります。
多くはかゆみを伴います。
発疹は破れたりつぶれたりしながらかさぶたになっていきます。
ときに38℃前後の発熱を伴います。
発疹は約1週間で全てかさぶたになります。発疹の痕は数週~数ヶ月残り、消えます。
見た目はあせもや虫刺さされに似ていますが、徐々に発疹が膨らみ、水ぶくれになるのが水疱瘡の特徴です。
水泡のかゆみが我慢できないからと掻きむしってしまうと、化膿して治癒した後も痕が残ることがあるので注意が必要です。
治療は?
治療としては、抗ウイルス薬であるアシクロビルやバラシクロビルを水痘が発症した後に速やかに投与することによって、水疱の数と持続、かゆみの持続、発熱の期間の短縮などの症状の軽減が期待できます。
水疱瘡に対しては痒みを軽減して細菌の二次感染を防ぐことを目的とした軟膏(カチリなど)が処方されて塗布されることが一般的です。
かゆみの強いときはかゆみ止めも一緒に内服し、とびひがあるときは、抗生剤の内服を行います。
水泡が全てかさぶたになったら集団生活に戻ってかまいません。
合併症は?
もっとも多い合併症は水疱部位に細菌が感染して化膿することで、1~4%と言われています。
水痘にかかった際に、とびひになっている場合や、溶連菌による咽頭炎にかかっている場合は要注意です。
アトピー性皮膚炎があって、発疹をかきむしりやすいお子さんも注意が必要です。とびひの部位が真っ赤に腫れ上がったり、発熱したりします。
全身の抵抗力も低下するので、水痘にかかった後にカゼから肺炎を起こすこともあります。
まれですが、髄膜炎や脳炎を引き起こすこともあります。
予防法は?
一番有効な予防法は予防接種です。
予防効果は90%、重症化は100%防御するといわれています。
水疱瘡の予防接種をしておくと、大人になった時に帯状疱疹になりにくい、または帯状疱疹になっても症状が軽くなるといわれています。
水疱瘡患者に接触後3日以内に水痘ワクチンを緊急に接種すれば発病を回避できる場合があります。ただ、流行中には接触の正確な日時を特定することは困難なことが多いです。
水疱瘡と帯状疱疹について
水疱瘡はウイルスによる病気で、一度発症し、治ってしまうと一生感染しません。ところが、そのときウイルスは死んでしまったのでなく、身体の中の神経節に潜り込みます。
このウイルスが、病気などで抵抗力が弱くなったときや疲れたとき、あるいは歳をとったことにより再び活動を始めることがあります。
これが「帯状疱疹」です。
ところが、水痘・帯状疱疹ワクチンをうっておくと、みずぼうそうウイルスをやっつける抗体が体の中につくられます。
妊婦さんへの影響
妊娠20週までに妊婦が水ぼうそうにかかると生まれてくる赤ちゃんの約2%が先天性水痘症候群となり、四肢低形成(手足の形成が不良)、脈絡網膜炎(目の膜の炎症)、小頭症発達障害などの症状をきたします。
また妊娠中は重症化しやすく、出産5日前から出産後2日までに妊婦が感染すると赤ちゃんも重症な水痘を発症しやすくなります。致死率は年齢に比して急激に増加します。
いつから登園できるの?
水疱瘡は感染力が強いため、発症すると保育園や学校への登園は禁止されます。
すべての水疱がかさぶたになれば再び登園することができるとされていますが、登園のタイミングかかりつけの医師と相談しましょう。
水疱瘡かな?と思ったらぜひ相談してください。
文責;総合内科専門医 宮内