とびひとは
1:「とびひ」とは?
2:とびひの原因は?
3:とびひの種類?
4:治療は?
5:「とびひ」になった時の日常生活のケアは?
6:通園・通学の目安は?
今回「とびひ」について、お話していきたいと思います。
「とびひ」とは?
「とびひ」の正式病名は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といいます。
細菌が皮膚に感染することで発症します。
多いシチュエーションは、蚊に刺されたり、あせもやアトピー性皮膚炎のかゆいところを掻いてしまい、広がってしまいます。
とびひの語源としては、水ぶくれがあっという間に全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火することに似ているため「とびひ」と呼ばれています。
とびひの原因は?
虫刺されやあせも、湿疹を掻きこわしてキズができたり、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下した部位に細菌が感染することで発症します。
とびひの原因菌となるのは主に、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌という種類の細菌です。
これらの細菌はめずらしい細菌ではなく、健康な人の皮膚や鼻の中やのどなどによくいる菌です。
皮膚にできた小さなキズから入り込んだとき、とびひを起こす原因となります
とびひの種類?
とびひには水ぶくれができるもの(水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん))とかさぶたができるもの(痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん))の2種類があります。
水泡性膿痂疹
皮膚にできた水ぶくれが、だんだん膿(うみ)をもつようになり、やがて破れると皮膚がめくれてただれてしまいます。
かゆみがあり、そこを掻いた手で体の他の部分を触ると、症状が体のあちこちに広がってしまいます。
とびひの多くはこのタイプで、黄色ブドウ球菌が原因です。
痂皮性膿痂疹
皮膚の一部に膿をもった水ぶくれ(膿疱(のうほう))ができ、厚いかさぶたになります。炎症が強く、リンパ節が腫れたり、発熱やのどの痛みを伴うこともあります。
主にA群β溶血性レンサ球菌が原因となりますが、黄色ブドウ球菌も同時に感染していることが多いです。
水ぶくれタイプ (水疱性膿痂疹) |
かさぶたタイプ (痂皮性膿痂疹) |
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原因となる細菌 |
黄色ブドウ球菌 | A群β溶血性レンサ球菌 |
特徴 |
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できやすいところ |
目・鼻・口のまわりから症状が出始めることが多く、やがて体のあちこちに広がる |
全身にできる |
かかりやすい季節 |
夏(暖房の普及で、冬でもみられる) | 季節に関係なし |
かかりやすい年齢 |
赤ちゃん・幼児 | 年齢を問わない(大人にも起こる) |
治療は?
とびひには、原因となる細菌を退治する治療を行います。ペニシリン系抗菌薬、セフェム系抗菌薬といった抗生剤の内服薬や、抗菌薬入り塗り薬を使用します。
かゆみが強い場合は、かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬を服用することがあります。
「とびひ」になった時の日常生活のケアは?
「とびひ」になった時のケアとしては次のことがとても大切です
- 患部をよく覆いましょう:患部の清潔を保つことが大切です。石鹸をよく泡立ててやさしく丹念に患部を洗い、シャワーでしっかり洗い流すようにします。
- 人にうつさないようにしましょう:特に兄弟同士などでお風呂に入ってしまうと、肌がこすれあって兄弟同士で移ってしまいます。「とびひかな?」と思ったら一緒にお風呂に入らないようにしましょう
- タオルなどは気を付けましょう:タオルや衣類からうつる可能性もあるため、家族や友達との共用は控えます。洗濯は一緒に行っても大丈夫です。
- プールは控えましょう:ほかの人にうつるのを避けるため、プール(水泳やプール遊び)は治癒するまで控えます。
- 皮膚を触らないようにしましょう:鼻の穴や周囲をよく触るくせがある場合は、できるだけ触らないように気をつけましょう。
まれですが
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)という黄色ブドウ球菌が作る毒素が血液に入り込み、全身に広がる病気に発展することもあります。
高い熱が出て、身体がだるくなり、皮膚は真っ赤に腫れて触れただけでも痛くなり、やがてむけるようになります。乳幼児にみられ、入院して治療する必要があります。
通園・通学の目安は?
学校保健安全法という法律の中で「学校感染症、第三種(その他の感染症)」として扱われます。ほかの園児・学童にうつす可能性があるため、基本的には、医師にみてもらって、治療して、病変部をガーゼや包帯できちんと覆って露出していなければ、登校・登園許可を得られます。しかし、病変が多発していたり、広範囲の場合は休ませるほうがよいでしょう。
とびひは、ひどくならないうちに治療を始めると、より早く治すことができます。
ぜひ、「とびひ」かな?と不安になったら早めに相談してください。
文責:総合内科専門医 宮内