子宮頸がんワクチンについて
1:子宮頸がんワクチンの安全性
2:子宮頸がんワクチンの接種対象
3:子宮頸がんワクチン接種当日の持ち物
4:「~価」のワクチンとは?
5:9価の予防接種を待った方がいい?
6:定期予防接種の年齢を過ぎてしまったけど受けた方がいいの?
7:コロナワクチンを受けた後に打ちたいんですが?
8:HPVワクチン接種についてのリンク
子宮頸がんワクチンは皆さんは打たれていますでしょうか?
他の項目でも記載しましたが、ワクチンで病気を防ぐということは非常に重要です。(大人のワクチン参照)
今回、この子宮頸がんに対する項目を記載していきたいと思います。
子宮頸がんワクチンの安全性
HPVワクチンの印象で、2013年に報道された副反応の点が頭をよぎることがあるかと思います。
この報道によって、平成25年(2013年)6月14日に厚生労働省から勧告があり、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛(いたみ)がHPVワクチンの接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、接種を積極的に勧奨することを差し控えることになりました。
しかし、その後さまざまな研究によって、HPVワクチンが特別に重い副反応を起こしやすいわけではないということがわかっています(Cochrane Database、JAMA)。
子宮頸がんワクチンの接種対象
定期予防接種(決められた年齢の方であれば、自治体からの補助で無料で受けられる)は「小6~高1の女の子」です。
また、江東区では、新型コロナウイルスによって延長措置で受けられる期間が延びています。
延長措置に関しては、
対象年齢
- 令和3年度、高校2年生相当の女子 (平成16(2004)年4月2日~平成17(2005)年4月1日生まれ)
- 令和3年度、高校1年生相当の女子 (平成17(2005)年4月2日~平成18(2006)年4月1日生まれ)
延長後の接種期間
①、②の方共通 令和5年(2023年)3月31日まで(予定)
しかし、このワクチンは、全3回の接種完了までに、約6か月かかります。
令和5年(2023年)3月31日までに接種を完了するためには、 1回目の接種を「令和4年(2022年)9月30日まで」に開始する必要があります。
定期予防接種で受けられるのは、2価と4価のワクチンになります。
ワクチン名 |
サーバリックス(2価ワクチン) | ガーダシル(4価ワクチン) |
---|---|---|
予防できるウイルスの型 |
HPV16・18型 | HPV6・11・16・18型 |
接種回数 |
3回(筋肉注射) | 3回(筋肉注射) |
接種間隔 |
1回目:初回接種 2回目:1回目から1か月後 3回目:1回目から6か月後 |
1回目:初回接種 2回目:1回目から2か月後 3回目:1回目から6か月後 |
製造販売元 |
グラクソ・スミスクライン株式会社 |
MSD株式会社 |
対象年齢を過ぎた後でも接種による効果はあることがわかっています。
当院では、どちらのワクチン接種も可能です。事前にWEB予約していただけるとスムーズです。どの時間帯でも構いません。
また、ガーダシルは自費にはなりますが、男性の接種も可能です。尖圭コンジローマや咽頭癌の予防にもなります。
子宮頸がんワクチン接種当日の持ち物
当日は、つぎの書類をお持ちください。
- 接種券シール
- 予診票
- 母子手帳
- 同意書
13歳以上の方は、予診票の保護者記入欄と同意書の両方に保護者が署名し、接種当日持参すれば、保護者の方の同伴なしでも予防接種を受けることが可能です。
ただし、他の予防接種と同じように、ワクチン接種後に失神等の反応が現れることがありますので、原則、保護者の方が付き添うようにお願いいたします。
「~価」のワクチンとは?
「~価」と言われてもピンとこないかもしれません。
「価」というのは何種類のHPV(ヒトパピローマウイルス)の型の感染を予防できるかという意味になります。
- 2価:HPV16, 18 (子宮頸がんの最もハイリスクな型を予防:子宮頸がんの6~7割を予防可能)
- 4価:HPV6, 11, 16, 18 (尖圭コンジローマの原因となるHPV6, 11も予防)
- 9価:HPV6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58 (子宮頸がんの原因となるHPV型をさらに5種類予防:子宮頸がんの9割を抑えることが可能)
になります。
9価の予防接種を待った方がいい?
9価のワクチンの方がハイリスクHPV感染を予防することができますが、日本では、まだ定期予防接種には入っていません。
このワクチンが定期接種になるまで待つ方がいいのかに関しては、いつ定期接種に組み込まれるかはわからないため、無料で定期接種を受けられる場合には、まずは2価か4価のワクチン接種をお勧めしています。
もし、9価の予防接種を現時点では、自費にはなりますが当院でも受けることは可能ですので、ご希望があれば問い合わせください。
定期予防接種の年齢を過ぎてしまったけど受けた方がいいの?
現在は26歳までの全ての女性でHPVワクチン接種が推奨されています。
また、様々な研究から27歳以降も45歳まではHPVワクチン接種による効果があることもわかっています。
これは、HPVが一度感染してしまえばそのままずっと感染し続けるというウイルスではないからです。
自費にはなりますが、ぜひ接種を検討して下さい。
ワクチン | シングリックス | ガーダシル | シルガード9 |
価格(円/回) | 16000円 | 16000円 |
26500円* |
どのワクチンも3回接種する必要があります。
*仕入れ値の高騰により値段を変更します。
コロナワクチンを受けた後に打ちたいんですが?
現在、コロナワクチンを打った後に接種を考えている方も多いと思います。
コロナワクチンとは同時接種はできません。コロナワクチンと他の予防接種は2週間間隔を開ける必要があります(厚労省 新型コロナQ&A)。
なので、HPVワクチン接種は6ヶ月かかるので、高校1年生の9月までにHPVワクチン接種ができるように相談していきましょう。ぜひ、このスケジュールなども相談ください。
HPVワクチン接種についてのリンク
文責:宮内隆政(総合内科専門医)