花粉症
花粉症について
1:はじめに
2:花粉症の症状は?
3:花粉症の治療は?
4:舌下免疫療法?
はじめに
花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。アレルギー性鼻炎は、原因物質(アレルゲン)の種類によって2つに分類されます。1つは季節性アレルギー性鼻炎、もう1つは通年生アレルギー性鼻炎です。日本人の約38.8%がスギ花粉症だといわれています。
今年度の花粉情報です。
代表的な原因植物
- スギ(2月~4月)
- 本州、四国、九州の山中に分布する。花粉症の原因植物の代表格です。
- ヒノキ(3月~4月)
- 本州の福島以南と四国、九州に分布する。スギ花粉に似たアレルギー物質を持つ。
- イネ科
- カモガヤ(5月~6月)、オオアワガエリ(6月~8月)、ススキ(9月~10月)など。
- ハンノキ(1月~4月)
- 日本全土に分布し、森や湖などの湿地に多い。
- シラカンバ(3月下旬~6月)
- 北海道や本州の中部以北に分布している。スギ花粉症がほとんどない北海道では、シラカンバ花粉症が多い。
- ブタクサ(8月~9月)
- 東北以北は少ないが、日本全域に分布する。秋の花粉症の代表格。
- ヨモギ(9月~10月)
- 日本全域に分布する。
- カナムグラ(8月~10月)
- 日本全域に分布し、特に関東地方に多い。
花粉症の症状は?
鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合が多く、その他にのどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがあります。
カバノキ科、イネ科花粉症などの人が、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇、舌、口の中や喉にかゆみやしびれ、むくみなどがあらわれることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉にあるアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こります。
花粉症のメカニズムは下記のように言われています。
花粉症の治療は?
花粉症は、一般に症状が悪化すると薬の効果が得られにくくなりますので、症状が軽いうちに症状を抑える薬を使い始める「初期療法」が勧められています。
初期療法とは、花粉飛散予測日の2週間程度前か、もしくは花粉症の症状が少しでもあらわれた時点で薬物治療を開始します。早めに薬を使用することで、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくなり、症状を抑えた状態でシーズンを送ることができます。
下記が使用する代表的な薬になります。
・抗ヒスタミン薬
薬剤治療のベースになるのが、「抗ヒスタミン薬」。ヒスタミンの働きをブロックし、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を抑えてくれます。これまでは「花粉症の薬は眠くなる」と言われがちでしたが、眠気などの副作用が軽減された「第2世代抗ヒスタミン薬」が登場し、こちらが主流になりました。
・抗ロイコトリエン薬
ロイコトリエンは、ヒスタミンと同じようにアレルギー反応を起こす化学物質です。特に、血管を拡張させる作用がある(=粘膜が腫れて鼻づまりを起こす)ため、このロイコトリエンの働きを抑制する「抗ロイコトリエン薬」は鼻づまりが強いときに使われます。
・鼻噴霧用ステロイド薬
くしゃみや鼻水などの鼻の症状が強いときに使われます。「ステロイド=副作用が強い」というイメージがあるかもしれませんが、「鼻噴霧用ステロイド薬」は鼻だけに効くようにつくられているため、副作用は少なくて済みます。
舌下免疫療法?
別にも記載してあるのでご参照ください(舌下免疫療法について)。
根治療法として期待されているのが、「アレルゲン免疫療法」です。花粉症の原因となっている物質(=アレルゲン)を少ない量から取り入れ、徐々に増やして、免疫を獲得しようという治療法。花粉に反応する体質自体を変えていこうという考えです。
治療には2~3年かかりますが、花粉症が治り得る唯一の治療と言われています。
花粉症における鼻や目のケア(アレルギーポータルより引用)
(1)鼻のケア
・鼻の洗浄
鼻に入り込んだ花粉やホコリなどは、洗い流すのが効果的です。ただし、水道水は塩素などを含んでいて鼻の粘膜を傷つけてしまうので、体液に近い組成の市販の生理食塩水を利用してください。
・鼻の粘膜の保護
繰り返して鼻をかむと鼻が荒れますので、荒れてしまったら白色ワセリンなどを塗ってください。保湿ティッシュペーパーで鼻をかむことも有用です。
・室内の加湿
鼻腔に炎症があると粘膜機能が低下するので、室内を加湿して水分を補ってください。空気が乾燥しているときはマスクが有用です。
・マスク
マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果が期待されています。また、花粉症でない人も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されています。ただし、風が強いとマスクをしていても鼻の中に入る花粉は増えます。マスクをしていても完全防備にはならないので過信は禁物です。
(2)目のケア
目の洗浄
花粉やホコリなどの異物は、洗い流すのが効果的です。ただし、目は表面が涙で守られており、水道水で目を洗うことで細胞が傷つくことがあり、また涙も洗い流してしまうので、市販の人工涙液を利用してください。
目の疲労の回避
長時間にわたりテレビを見続けることやパソコンで作業を続けることは目に負担をかけてドライアイなどの原因になるだけでなく、めまいや頭痛、睡眠障害などの心身に健康障害があらわれるVDT症候群(visual display terminal syndrome)を招いてしまいます。目から画面(モニター)まで50cmくらい離すようにして、1時間見続けたら15分間程度の休憩を設けてストレッチなどで身体をほぐすようにしましょう。また、目に炎症があるときはそれだけで目に負担をかけるので、コンタクトレンズの使用を控えてメガネをかけ、意識的に目を休めてください。目に限りませんが、規則的な生活を送って十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけてください。
花粉症は、なるべく症状を抑えることが重要になります。
当院では、花粉症の治療、また舌下免疫療法も行っています。また、適宜アレルギー検査も行なっております。また、ご相談ください。
(文責 総合内科専門医 宮内)
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