痛風発作
痛風発作について
1:はじめに
2:痛風発作とはそもそも何か?
3:どんな人が痛風になりやすい?対処は?
4:痛風にはどんな治療?
5:食事での注意は?
はじめに
かつて美食家に多く発病し、貴族の病(贅沢病)と言われた痛風も食文化の変化とともにありふれた疾患になりました。
過去の英雄たちや恐竜も持っていたとされる痛風は、日本では明治時代以前にはないとされていた病気でした。1960年代になって増えてきた疾患で現在は100万人を超えています。これは、食事内容の変化が原因として考えられています。初発年齢は30歳代が最も多く、男性に多い疾患です。発症年齢の頻度は、40歳代・50歳代と続きます。特に30歳以上の男性では有病率は1%とされており、珍しい病気ではないことがわかります。
痛風発作とはそもそも何か?
痛風の原因となる尿酸の大本は「プリン体」です。
プリン体は悪者というわけではありません。遺伝子の本体であるDNAやエネルギー伝達物質のATPもプリン体の一種です。また、動物も植物も、細胞からできているものはすべてプリン体をもっています。尿酸は、プリン体を使った後の最終産物です。
体内では一定量の尿酸が毎日作られ、尿酸は血液中などに一定量存在し、不要なものが体外に排出されています。また、血液中の尿酸は抗酸化物質として働いているので、適量なら体に役立つ働きもしてくれます。尿酸値は低すぎても高すぎても問題になります。病気のリスクを上げないためには、尿酸値を正常値の範囲内に保つことが大切です。
痛風発作は、関節の中で尿酸が結晶化し、これを白血球が処理する際に炎症を起こし生じます。
痛風の起こりやすい部分は下記になります。
どんな人が痛風になりやすいのか?対処は?
痛風は暴飲暴食や運動不足の人がなることは周知の事実かと思います。そのほかに、遺伝子も大きく影響していることが知られています。痛風患者の多くは尿酸を外に運ぶ働きの遺伝子に変異があり、また、小腸の働きが弱まると、外に出すことができなくなって尿酸値が高くなることもわかりました。
さらに、お酒に強い体質の人は痛風になりやすいことも判明しています。アルコール分解過程で働く遺伝子の働きがよい人はお酒が強いことがわかっています。遺伝子の働きがよく、お酒に強い人の痛風発症リスクは、弱い人の2倍以上です。またお酒の強い人が飲酒をしなかったとしても、発症リスクは高いことが知られています。
痛風にはどんな治療?
まず鎮痛薬などで炎症を抑えます。そのうえで、発作の再発予防のため、薬を使って尿酸値を下げます。
患者さんには、尿酸を多く作りやすいタイプのために尿酸が体内にたまる人と、体外に排出が少ないタイプのために尿酸がたまる人がいます。どちらのタイプかを見極めて、どの薬を使うかを決めます。当院では、尿検査での尿酸排泄率も見て治療も行います。
尿酸値を下げるポイントとしては、「ゆっくり下げる」ことが大切です。患者の多くは、長い時間をかけて関節に尿酸がたまっているので、急に下げたり過度な運動をしたりすると、痛みを伴う発作が再発しやすいからです。
食事での注意は?
痛風や高尿酸血症と診断された時の食事としては
- 動物の内臓を控える。肉や魚を食べ過ぎない
肉や魚などの量が多い高たんぱく質の食事は、プリン体も多く摂取することになります。 - 油を多く使用する料理は、回数を減らし、少なめにする
油の多い食品はエネルギーが高く、肥満になります。 - 野菜や海藻を十分に食べる
野菜や海藻は尿をアルカリ性にし、尿酸の排泄を促します。サラダや煮物やお浸しなど、いろいろな調理法を取り入れ、十分に食べましょう。 - アルコ-ル飲料は禁止にするか、程々に飲む
ビ-ルはプリン体が多いので控えましょう。アルコ-ル自体が尿酸値を上昇させるため、禁酒がベストですが、難しい場合は休肝日を設けたり、量を減らしたりしましょう。 - 水やお茶を多く飲む
水分を多く取ることにより、尿量を多くして、尿酸の排泄を促します。ただし甘い飲み物は尿酸値を上昇させるので控えましょう。 - 薄味を心掛け、塩分を控えめにする
三和化学の図を多く利用させていただいておりますが、食事の部分でクイズ形式のものもありますので、ぜひやってみてください!
痛風の発作は非常に痛みが強く、歩くのもしんどいと思います。
当院では、オンライン診療も用いた治療もできますので、ぜひご利用ください。
(文責:総合内科専門医 宮内)