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風邪(かぜ)について

1:風邪(かぜ)についての話
2:風邪(かぜ)とは
3:風邪の原因
4:症状
5:診断・検査
6:治療
7:妊娠中・授乳中に風邪(かぜ)をひいたら?
8:予防
9:よくある質問

 

風邪(かぜ)についての話

風邪と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか?

小さい頃から親に「風邪ひかないようにね。」など言われたり、非常に馴染み深い疾患ではないでしょうか?

馴染みやすい疾患ですが、風邪に対しては特効薬はなく、「風邪の特効薬が作れたら、ノーベル賞がもらえるかも」とも言われています。「風邪薬は、薬局に行けばたくさん売っているでしょ」と思うかもしれませんが、どの薬も風邪の症状を抑える薬であり、風邪を根本から治すわけではありません。

 

風邪(かぜ)とは

鼻、口と肺をつなぐ管を「気道」といい、そのうち喉、声門までの部分は「上気道」と呼ばれています。 一般的に風邪と呼ばれている症状は、上気道に起こる炎症のことです。

「せき、鼻水、のどのいたみ」の3つの症状のうち、どれかしらが強い症状の時は、診断名がそれぞれ、「急性気管支炎、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎」と変わりますが、どれも「風邪のうちの一つ」です。

 

風邪の原因

風邪の原因は8~9割がウイルス感染です。

ウイルスの種類としてはライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなどがあり、夏風邪の場合はアデノウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなどがあります。

このように風邪を引き起こすウイルスにはいろいろな種類があるので、ぴったりと合う抗ウイルス薬を創るのが難しく、特効薬が存在しないのです。根本的な治療法がない風邪ですが、症状がつらかったり、本当に風邪なのかな?と不安に思われることがありますので、ぜひ一度診察にお越しください。

症状

風邪の症状は呼吸器がウイルスの異物の侵入を防御する働きで起こるとされています。

多くの場合は発熱、のどの痛み、だるさから症状が起こり、その後鼻水や痰の症状が出て、最後に咳症状が遅れて出てくる場合が多いです。その他に関節痛、筋肉痛、寒気などが起こります。

症状は多彩であり、人により異なります。風邪をこじらせてしまうと、気管支炎、肺炎、副鼻腔炎等になってしまうことがあります。

 

人が1年間に風邪をひく回数は平均3~6回で、4日から1週間程度で治ることが多く、発熱が3日以上続くことはほとんどありません。

しかし、風邪をひいている間に別の細菌に二次感染し、熱が続いたりすることもあります。

また、風邪をきっかけに中耳炎や副鼻腔炎、さらに気管支炎、肺炎、脳症などの合併症を引き起こすこともあります。

抵抗力の弱い子供や高齢者の場合、風邪をひく回数は多くなる傾向がありますので注意が必要です。

診断・検査

風邪の診断は主に患者さんのお話を伺うことと身体診察で行います。

風邪を診断する検査キットや画像検査はありません。

疾患を疑えば、溶連菌、インフルエンザ、RSウイルスなどの迅速検査キットもあります。また、他の病気と診断に迷う場合は、採血やレントゲンをとることもあります。

 

治療

  • 風邪の特効薬は存在しません。現在ある症状に対して、症状を緩和するお薬を処方いたします。
  • 当院では漢方薬も処方しています。風邪の引きはじめなどには非常によく効きます。粉薬が多いので、医師ともぜひご相談ください。
  • 無理をせず、ゆっくり寝ていることが一番大切です。こじらせないためにも、無理して働いたり外出したりはせず、ゆっくり休みましょう。

妊娠中・授乳中に風邪(かぜ)をひいたら?

妊娠中や授乳中でも使えるくすりがあります。ぜひ、医師に相談して下さい。漢方薬などもこの点では非常にいい選択肢になります。

不要なくすりをできるだけ避けるため、症状に応じたくすりを選ぶほうがよいです。

予防

  • ウイルスに感染しないよう、衛生面に注意することが最善の予防策です。
  • うがい、手洗いをこまめに行いましょう。また、適度な運動やバランスのよい食事、極端な厚着を避けるなど、抵抗力を養い、「風邪をひかない体づくり」を心がけることも大切です。

 

よくある質問

Q. これまで“風邪といえば抗生物質”のはずですが・・・?

A. 風邪のほとんどの原因であるウイルスに対して抗生物質は効きません。“細菌による風邪の可能性がわずかでもあるから”、“肺炎になるのを予防したい” と言う理由で、抗生物質が処方されてきたと思います。

「抗生物質を飲めば風邪が早く治る!」あるいは「抗生物質を飲んで、肺炎を予防した!」という確かなデータはどこにもないです。抗生物質で治った経験もある方もいるので、外来でお話しさせていただきながら処方を選択していきます。

Q. 抗生物質を飲むことで不都合は?

A. ひとつは、副作用です。腸内細菌が抗生物質によって死滅するために起こります。薬をやめると腸内細菌は元に戻り症状は軽快します。

もうひとつ重要なのは、細菌の耐性化です。当院の診療案内にも記載されているようにAMR(薬剤耐性)の対策は非常に重要です。今後耐性化が進むことで、感染症で亡くなる方が増えることが予測されています。今のうちからが非常に大切です。

Q. 風邪の治りかけに淡黄色の鼻汁や痰をよく経験しますが、細菌性では?

A. この場合でも、ほとんどの場合はウイルス性です。風邪の初期には透明の鼻水が出て、治る頃には淡黄色の鼻汁が出ます。このような淡黄色の鼻汁ないし痰は、 ウイルスに対する抗体ができて、白血球(好中球)が増えるために起こるとされて います。よってこのような場合、抗生物質は必要ありません。

 

ぜひ、お気軽に相談して下さい。人それぞれで症状や不安に思うことは異なると思います。

少しでも一緒に解決できればと思います。

 

文責:総合内科専門医 宮内

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