これからの季節に活躍する塗り薬について。
[2021.10.28]
塗り薬を皆さんも使っていますか?
まず、塗り薬と言っても色々な用途に応じた塗り薬があると思います。痛みのコントロール、痒みを止めるため、保湿するためなど用途は様々です。
今回は、まず塗り薬の種類について記載したいと思います。
塗り薬には、軟膏剤、クリーム剤、ローションなど様々な剤形があります。
塗り薬は90%以上を占める基剤があり、主薬という効かせたい成分が入っています。
分類 | 基剤 | 刺激性 | べたつき | 刺激性 | 皮膚の吸収 |
---|---|---|---|---|---|
軟膏 | 水溶性基剤 | 弱い | 強い | 弱い | 吸収されにくい |
油脂性基剤 | |||||
クリーム | 水中油型 | 軟膏に比べ強い |
軟膏より べたつきにくい |
軟膏に比べ強い | 軟膏に比べ吸収されやすい |
油中水型 | |||||
ローション |
乳液状 (水中油型) |
軟膏に比べ強い | 軟膏やクリームよりべたつきにくい | 軟膏に比べ強い | 軟膏に比べ吸収されやすい |
各種製剤についての特徴
軟膏の特徴
- あらゆる状態の病変に使用可能で、最も汎用性がある。
- 特に、びらんや亀裂のある病変、乾燥が強い病変には軟膏を用いる。
- べたつくので嫌われることがある。
クリームの特徴
- 水中油型のクリームは使用感が良く、アドヒアランスを高めることができる。
- びらんや亀裂のある病変や乾燥が強い病変には適さない。
- 油中水型クリームは軟膏と水中油型クリームの中間で、クリームとしては保湿力が高く、刺激は少ないが、ややべたつく。
ローションの特徴
- 使用感が良く、アドヒアランスが高まる。
- 被髪部だけでなく、顔や体、手足にも使用するとよい。
- 湿潤した病変やびらん面、乾燥した病変には適さない。特に溶剤性ローションは刺激がかなり強い。
冬の時期に使用が多くなる保湿剤
保湿剤の塗り方:
- 保湿剤は、多すぎても、少なすぎてもいけません。
- 肌がしっとりするくらいが適量です。
- 皮膚にすり込むと、その刺激でかゆみが増すことがあるため、すり込む塗り方は止めましょう。
- 基本は、お風呂上りに全身に保湿剤を塗りましょう。入浴後、体がまだ湿っているうちに保湿剤を塗ると、保湿剤が体の表面の水分を閉じ込めるので、最も効果的に保湿できます。
- 1日1回は必ず保湿剤を塗りましょう。
保湿剤の種類と特徴
保湿外用薬 | 長 所 | 短 所 |
---|---|---|
油脂性軟膏 (白色ワセリン、プラスチベース、 亜鉛華軟膏、親水軟膏) |
●保湿外用薬の基本 ●安価 ●刺激感もほとんどない |
●ベタつく使用感が好まれない場合がある |
尿素クリーム、ローション (ウレパール、ケラチナミン、 パスタロンなど) |
●保湿効果が高い ●ベタつきが少ない |
●皮膚炎の部位に塗ると刺激がある場合がある |
ヘパリン類似物質 (ヒルドイド、ヒルドイドソフト、 ヒルドイドローション) |
●保湿効果が高い ●ベタつきが少ない ●塗りのばしやすい |
●種類により僅かなにおいがある |
その他 (アズノール軟膏、ユベラ軟膏、 ザーネ軟膏、オリーブ油) |
●比較的ベタつきが少ない |
●各薬剤により異なる |
*保湿剤(特にヒルドイド)は処方制限の話題が以前にあった。処方制限自体はないが、ある程度節度を守った処方にしていく必要はあると感じる。
これからの季節に軟膏や保湿剤はとても重宝してくる。
皮膚のこともぜひ、ご相談して下さい。
総合内科専門医 宮内