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肥満治療薬 ウゴービに関して

[2023.12.11]

肥満症治療薬であるGLP-1受容体作動薬のウゴービ(セマグルチド)が、2023年11月22日に薬価収載されました。

2024年2月22日に発売されることが決定しています。

当院でも患者さんに「いつから使えますか?」などよく聞かれます。

 

そもそもウゴービって何?

ウゴービは、もともと2型糖尿病の治療薬として開発されたセマグルチドを、肥満症患者にも使用できるようにした薬剤です。セマグルチドは糖尿病治療薬として、経口薬ではリベルサス®︎、注射製剤としてはオゼンピック®︎として用いられています。

オゼンピック(セマグルチド)の作用機序と副作用【糖尿病】 - 新薬情報オンライン

引用:新薬情報オンライン

 

ウゴービの容量、効果は?

容量は0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があります。

0.25mgからスタートし4週毎に増量していきます。
「ウゴービ」は既に糖尿病治療薬で使用されている「オゼンピック®︎」や「リベルサス®︎」と同様に、脳での食欲調整機構に作用したり、胃の蠕動運動の抑制することで体重減少効果が期待されます。

オゼンピック®︎の最大投与量が1.0mgであったのに対して、ウゴービは最大2.4mgの投与が可能です。

「オゼンピック」の最大2.4倍と考えると効果は高そうですね。

 

 

ウゴービの適応とは

セマグルチドは、糖尿病患者でない場合にダイエット使用では瘦身クリニックなどで自費でしか使用できませんでしたが、今後保険適応で一般的に使用されていくこととなります。

ただし、ウゴービを全ての方のダイエットのみを目的に使用することはできません。

適応としては、

高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有した肥満症患者
ただし、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
「BMI:27以上で2つ以上の肥満に関連した健康障害がある※。」
もしくは
「BMI:35以上」

※肥満症に関する健康障害
(1)耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)(2)脂質異常症(3)高血圧(4)高尿酸血症・痛風
(5)冠動脈疾患(6)脳梗塞(7)非アルコール性脂肪性肝疾患
(8)月経異常・不妊(9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群(10)運動器疾患(11)肥満関連腎臓病

 

クリニックで処方できますか?

厚生労働省は、GLP-1受容体作動薬の乱用を防ぐため、最適使用推進ガイドラインを満たす施設でのみの使用を想定しています。

・最大投与期間は68週まで
・2カ月に1回以上は管理栄養士による栄養指導を受けること。
・常勤医師が日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本内科学会の専門医を有すること。
・上記学会から教育研修施設として認定された施設であること。

ほとんどのクリニック・診療所は教育研修施設ではなく、該当するのは実質地域の総合病院に限られます。

ウゴービの適応となる患者さんはかかりつけ医で基本的な投薬や食事運動指導を受けた後に、総合病院へ紹介という流れになりそうです。

 

費用はどれくらいですか?

ウゴービの各容量の価格は以下の通りです。

0.25mg:1876円
0.5mg:3201円
1mg:5912円
1.7mg:7903円
2.4mg:1万740円

参考:オゼンピックの薬価
0.25mg:1376円/キット
0.5mg:2752円/キット
1.0mg:5504円/キット

オゼンピックと比較して少し高めの設定となっています。

 

肥満症の治療に大切なのは?

薬で痩せることも大切ですが、やはり大切なのは、食事療法と運動療法です。この習慣ができると痩せるのが持続します。

 

食事療法は、過度な糖質制限よりも摂取カロリーを制限する方が望ましいです。

過度な糖質制限は、確かに体重は減りますが、筋肉量も減少しやすく、また瘦せにくくリバウンドしやすい体質になるためです。そのため、過度な糖質制限は避け、比較的マイルドな糖質制限にすることがいいと思います。

1日の摂取カロリーは、25×理想体重(=22×[身長m]2)で計算されます。

摂取カロリー以下に制限するのが望ましいです。

 

運動療法は、継続可能かつ負担のかからない運動を1つ追加することがいいと思います。何事も継続が一番です。

 

アメリカでは2023年11月にこのウゴービの効果を上回る「Zepbound」も新薬として承認されており、今後日本でも肥満症治療が更に充実してくると思います。

 

 

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