子宮頸がんワクチン接種年齢の拡大
ここ最近のニュースでも報道されているように子宮頚がんワクチンの接種年齢が、接種できていなかった人も接種できるようになるというニュースがありました(1997~2005年度に生まれた女性が該当)。
子宮頸がんの情報などを少しまとめてみます(日本産婦人科学会のサイトからの情報を引用しています。)。
子宮頸がんは予防できるものなので、ぜひワクチン接種を機会がある方は受けていただければと思います。
子宮頸がんについて
ご存じのように子宮頸がんは子宮の入口(頸部)にできるがんです。
日本では毎年約1万人が罹患し、約2,800人が亡くなっており、近年は若い世代で多くなっています。
そのピークは30-40代です。20代、30代の女性で子宮頸がんのために妊娠できなくなる女性が毎年1200人います。
子宮頸がんワクチンの効果
子宮頸がんワクチン接種を推奨しているオーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染や前がん病変の発生が有意に低下していることが報告されています。また、集団免疫によりワクチン接種世代と同じ世代でワクチンを接種していない人のHPV感染も低下しています。
子宮頸がんワクチンと子宮頸がん検診が最も成功しているオーストラリアでは2028年に世界に先駆けて新規の子宮頸がん患者はほぼいなくなるとのシミュレーションもでているというから非常に驚きです!
4価ワクチンと9価ワクチンの比較
国際共同試験で、16–26 歳女性に対して9価HPVワクチン(7106人に投与)の効果について、4価HPVワクチン(7109人に投与)を対照として、比較試験が2007年から2009年にかけて18か国で行われました。
結果として、従来の4価ワクチンと同等の子宮頸部の高度前がん病変及び上皮内癌や外陰・腟の上皮内病変を予防する効果に加え、新たなターゲットとなったHPV 31/33/45/52/58 による病変が97.4% 減少したことが証明されました。
2価や4価ワクチンを受けた後に9価を受けた方がいいの?
既にHPVワクチン(2価もしくは4価)接種後に9価HPVワクチンの追加接種をすることについては、重篤な副反応の報告はないものの、WHOや米国予防接種諮問委員会(ACIP)及び米国疾病予防管理センター(CDC)では、すでに一番頻度の多いHPV 16/18型に対する免疫は獲得されており、5価が追加になることの効果は限定的であることと、異なる種類のワクチンを接種した場合の有効性と安全性のデータは限られていることから推奨はされていません。
今後、本邦でも9価のワクチン接種が公費になるのは数年先と言われています。
ただ、今回ワクチン接種できていなかった人が接種できるということに関しては非常に喜ばしいことです。
当院ではガーダシル(4価ワクチン)の在庫はありますので、接種できるようになりましたら直接来院で相談いただいても大丈夫です。
9価のワクチンに関しては数日前に予約していただき、高価なワクチンですのでキャンセル不可になりますので宜しくお願い致します。
文責:総合内科専門医 宮内