隠れ貧血って何ですか?
当院にも「貧血」で来院してくださる患者さんが多くいらっしゃいます。ただ、患者さんは自分が貧血ですとは言わず、「だるいです」や「疲れています」などの訴えで来られる方が多いです。
貧血とは?
「貧血」とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンという物質が少なくなった状態です。ヘモグロビンは血流に乗って酸素をカラダのすみずみまで運ぶ働きをしています。
そのため、ヘモグロビンの量が低下するとカラダの組織に十分な酸素が行き渡らず、さまざまな不調があらわれるようになります。
隠れ貧血とは?
これは潜在性鉄欠乏症と言われます。
ヘモグロビンの値は正常ですが、体内の貯蔵鉄の量を反映するフェリチンの値が低下する状態を指します。
なぜHb正常でも症状出るのか?
これは、体内において鉄の役割が赤血球を作っているだけではないからです。
鉄は筋肉中のミオグロビンの成分にもなり、鉄欠乏により筋力低下や疲労感を生じます。また、様々な酵素に関連し、コラーゲン合成やエネルギー産生や神経伝達にもかかわります。また、セロトニンやドーパミンが生合成される際の補酵素としても働きます。
このように鉄=血の原料だけというわけではありません。
治療はどうしたらいいの?
治療は、まずは鉄剤の内服になります(下表参照)。
経口鉄剤
副作用(悪心、嘔吐、便秘、腹痛、下痢)が発現し服用が困難になる場合もあります。
注射製剤
上記の経口剤で副作用が強くない場合には、注射製剤の投与を検討します。
当院でもフェインジェクトの点滴をおこなっている患者さんも多くいらっしゃいます。
意外に数値は大丈夫でも貧血の場合も多いです。
症状などある場合には相談してください。
文責:総合内科専門医 宮内