ご家族の65歳以上の方は、肺炎球菌ワクチンは接種していますか?
高齢者の肺炎球菌のワクチン接種について今回は触れたいなと思います。
肺炎球菌のワクチン接種をクリニックを開業して、まだ一件も接種していません。
そもそも、このワクチンは必要なのか?また、どんな人にワクチン接種が推奨されるかをお話ししたいなと思います。
肺炎球菌感染症ってどんな病気なのか?
肺炎球菌は、主に気道分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。乳幼児の半数、成人の鼻腔や咽頭の粘膜の10%に肺炎球菌が定着しています。
肺炎球菌は肺炎以外にも中耳炎や髄膜炎(菌が脳脊髄液に侵入すること)、菌血症(菌が血液の中に入ること)を起こすことがあります。
肺炎球菌による髄膜炎と菌血症は死亡率が非常に高いです。
感染の割合として、2歳以下の乳幼児と65歳以上の方が多く、それ以外の年齢でも腎臓が悪い、肝機能が悪い、免疫抑制剤使用者など基礎疾患があり免疫の弱い方に多いです。
65歳以上の人がワクチンの定期対象となるのは、上記のものが主な理由です。
これらの感染症は、以前は小児に多く見られましたが、肺炎球菌ワクチンの普及とともに小児の髄膜炎は、劇的に減少しました。
肺炎球菌のワクチンの種類?
肺炎球菌ワクチンは、ニューモバックスNP®︎ と プレベナー13®の2種類があります。︎
65歳以上に定期接種の対象となっているのは、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP®︎)になり、これは感染を起こす頻度の多い23種類の莢膜型の純化された成分が含まれています。
乳幼児を対象とする肺炎球菌ワクチン(プレベナー13®︎)は、13種類の莢膜成分が含まれており、免疫が作られにくい乳幼児であっても免疫を獲得しやすい工夫がなされています。
- ニューモバックスNP®の方が、プレベナー13®よりも広い血清型カバー率があり、ニューモバックスNP®のみでも肺炎球菌の予防として推奨される。
- ただしニューモバックスNP®とプレベナー13®を接種することで、相乗効果があり、さらなる予防効果が期待できる。
- 高齢者には、プレベナー13®のみの接種は推奨されず、公費が適応されるのはニューモバックス®だけ(江東区では初回1回のみ)
PPSVはニューモバックスNP®、PCV13はプレベナー13®
肺炎球菌ワクチンの費用と助成について
当院での肺炎球菌ワクチンの費用は以下になります。
ニューモバックスNP® | 6,000円(税込) |
プレベナー13® | 9,900円(税込) |
*接種の注意点:
上の表にも記載しているように、
・プレベナー13®は単回接種のみ
・ニューモバックスNP®は5年以上あければ再投与可能。
ニューモバックスNP®は、以下の方は定期接種の対象になります。
- 該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方
- 60歳から65歳未満の方で心臓・腎臓・呼吸器が悪く、自分の身の回りの日常生活が極度に制限される方
- 60歳から65歳未満の方でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による障害で日常生活がほぼ送れない方
ワクチンの助成に関しては、江東区のサイトをぜひご覧ください。
2021年10月1日から江東区では東京都の補助助成によって、初回接種時の自己負担額が変わっております。
- 10月~:自己負担額1500円
ただし、すでにニューモバックスNP®を接種したことがある方は助成の対象とはならないですので、ご注意ください。
*ここで特に注意しておきたいのは、当区では初回の接種のお知らせは来ますがそれ以降は来ないということです!
なので、当院でも70歳、75歳、80歳、85歳になった方には、肺炎球菌ワクチン接種をしましたか?と確認しています。
肺炎球菌ワクチンが、まだであればぜひ接種をとお勧めしています。
もし、みなさまのご両親やおじいちゃん・おばあちゃんで肺炎球菌ワクチンをしばらく売っていない方がいれば、ぜひご相談ください。
情報サイト:
文責:総合内科専門医 宮内