片頭痛に注射製剤??
「うぅ〜、頭がズキズキする」
「頭痛がする時に目がチカチカして吐き気がする」
などの頭痛はありますか?それは、片頭痛なのかもしれません。
今回、片頭痛の概要を簡単に説明し、治療薬に注射製剤が出たので紹介していこうと思います。
片頭痛とは?
日本人では、片頭痛の割合は約8%と推定され、女性は男性の男性の3〜4倍多いことがわかっています。政界的にはアジア人やアフリカ人は欧州や南北アメリカ大陸などの国に比べて有病率は低い傾向にあります。
片頭痛が起きるきっかけ
これに関しては、様々なきっかけがあります。
例えば、月経周期で起こりやすい、ストレスや過度な緊張がなくなった時に起こりやすい、睡眠リズムの乱れや空腹になった時、アルコールを飲んだ時に起こりやすい、季節の変わり目などの温度差や台風の接近や雨などの天候の変化で起こりやすいなどの様々な要因があります。
片頭痛の治療に関して
片頭痛の治療に関しては、
●頭痛発作そのものを治療する「急性期治療」
●頭痛の頻度・程度を抑えていくための「予防治療」
の2つに分かれます。
片頭痛の急性期治療に関しては、
鎮痛薬(カロナール®︎、ロキソニン®︎など)
トリプタン製剤(イミグラン®︎、ゾーミック®︎、マクサルト®︎、レルパックス®︎、アマージ®︎)
エルゴタミン製剤(クリアミン配合錠)
があります。
急性期治療の効果は,投与2時間後における頭痛消失によって評価されます。
片頭痛の予防薬
(1)カルシウム拮抗薬
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ロメリジン(ミグシス®)
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ベラパミル(ワソラン®)
(2)抗てんかん薬
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バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®)
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トピラマート(トピナ®)
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レベチラセタム(イーケプラ®)
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ガバペンチン(ガバペン®)
(3)β遮断薬
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プロプラノロール(インデラル®)
(4)抗うつ薬
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アミトリプチン(トリプタノール®)
(5)漢方薬
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呉茱萸湯、釣藤散、五苓散など
などがあります。
この片頭痛の予防薬治療に注射製剤が登場してきています(日本頭痛学会参照)。
キーワードが、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide: CGRP)です。
かつては血管収縮によって前兆が生じ,血管が拡張して頭痛が起こるとする血管説が信じられていましたが、現在は、様々な研究から片頭痛の病態は神経側にあると考えられるよう になっています。片頭痛発作と血中CGRPの上昇の関連性が、先行研究で示されています。
CGRP関連薬剤は数年前から海外で使用可能となり、抗CGRP抗体「ガルカネズマブ」(商品名「エムガルティ」)が2021年4月から、次いで、抗CGRP抗体「フレマネズマブ」(商品名「アジョビ」)と、抗CGRP受容体抗体「エレヌマブ」(商品名「アイモビーグ」)が2021年8月から日本でも使用できるようになりました。
CGRP関連薬剤は、CGRPの働きをブロックして、血管を拡張させないように働くため、片頭痛が起こらなくなるという形です。
適応としては、
①片頭痛の診断がくだされていること
②月に平均4日以上の発作が3ヶ月にわたって続いていること
③従来の内服治療等で十分な治療効果が得られなかったこと
④1年以内に頭部CT/MRIにて器質性異常の有無をチェックしていること
を満たす患者さんです。
抗CGRP抗体製剤の効果と欠点
薬の特徴として、慢性片頭痛患者に投与すると、頻度は半分程度にへり、頭痛の強さも減るようです。
副作用としては、
エムガルティ®は注射部位の注射後の痛み、腫れ、しこり、痒みが圧倒的に多く(10~15%)、その他には目立った副作用がありませんでした。
アイモビーグ®は注射部位の注射後の痛み、腫れ、しこり、痒みは1.5~3.7%程度と非常に少なく、咽頭炎や上気道炎が6.7~14.2%に認められています。
アジョビ®は4週間に1回でも12週間に1回でも副作用はほどんど変わらず、注射部位の注射後の痛み、腫れ、しこり、痒みは4~37%認められています。
欠点
当院での流れ
来院当日にすぐに使用することはできません。
一度受診していただき、診察します。
適正使用かを確認し、効果、副作用、治療の流れをご理解いただいた上で、投与の予定を決めていきます。
①初回診察
- 適正使用の確認
- 片頭痛とそれ以外の頭痛疾患が鑑別されていない場合は、MRI検査や血液検査などの検査を実施する場合があります。
- 投与日(注射日)を予約
②投与日(注射日)
- 投与日に必ず来院してください
- 注射を行います。
- アナフィラキシー反応の有無を確認するため、注射後15分以上は院内での待機をお願いします
*キャンセルされる場合は、必ず30分以上前に連絡ください
*投与30分前に冷蔵庫から取り出し薬剤を常温に戻します。常温に戻した場合は、7日以内に使用する必要があります。非常に高価な薬剤ですので、無断でのキャンセルはお控えください。
③次回投与日(注射日)の予約
- 1ヶ月間隔で投与をおこなっていきます
*効果は1ヶ月前後で現れます。3ヶ月経過しても改善がない場合は、使用の継続について検討します。
当院では、総合内科専門医が治療にあたります。
治療に悩まれている方はぜひご相談ください。
文責:総合内科専門医 宮内