夏から秋にかけては、ハチアレルギーに要注意です!
「ハチに刺されて亡くなってしまった」という話を聞いたり、「ハチに刺された後は2回目が怖い」と聞いたことがあると思います。
しかし、ハチに刺される人が全員ではなくハチ毒に対するアレルギーを持っている人は注意が必要です。
ハチ毒アレルギーとは?
昆虫アレルギーの中で、蜂刺傷や蟻咬症は全身アナフィラキシー(即時型反応)を起こし致死 的な経過をたどることがあります。
本邦では蜂刺傷による死亡数は年間 20 名前後と報告され、死亡例の大部分は、ハチ毒アレルギーを有している人が、アナフィラキシーショックという重篤な全身症状を伴うアレルギー反応を起こした場合で、その場合は1~数か所刺されただけでもショック状態に陥ることがあります。
林業・木材製造業従事者の約 40%、電気工事従事者の約 30%はハチに対する特異的IgE抗体が陽性であったとする報告もあります。
蜂刺傷を経験することの多い林野事業に関連する職種は、ハチアレルギー体質者が多く存在し、蜂刺傷により全身アナフィラキシー症状を起こす危険性が極めて高いことがわかりました。
季節は7月から11月が多いです!
引用:安藤 幸穂「佐久総合病院における蜂刺症の実態 13年間の統計」(日本農村医学会雑誌. 1993年42巻4号p949-p955)
原因
臨床的に最も重要な蜂の種類はスズメバチ類、アシナガバチ類、ミツバチ類の 3 つです。蜂刺傷による全身症状の発症機序として、
(i)蜂毒に対するIgEを介したアナフィラキシー
(ii)IgE を介さず多量の蜂毒注入などによる直接作用によるアナフィラキシー様反応
があります。
蜂毒には多数のアレルゲン(アレルギーの原因となるタンパク質)が含まれており、中にはハチの種類を超えて共通のアレルゲンもあります。そのため、アシナガバチに刺されてアレルギーを獲得した患者が、スズメバチに刺されてアレルギー症状を発症することもあります
重症のハチ毒アレルギーを起こすのは主にスズメバチかアシナガバチで、ミツバチで重篤化することはほとんどないようです。
HoneybeeとBumble beeがミツバチ科
Paper waspがアシナガバチ
HoenetとYellow jacketがスズメバチです。
ハチ毒アレルギーの検査について
抗体検査の種類:IgE測定(スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ)
予防のための抗体検査は保険適応にはらず、費用は費用:8,000円(税込み)になります。
血液採取をし、ハチ毒に対するIgE抗体の数値が高いかどうかを確認します。
ハチ毒アレルギーがわかったら
①原因の除去
原因がわかったら、原因の除去が大切です。ハチが生息している場所を確認し、そこに近寄らないようにしましょう。
②アドレナリン自己注射キット(エピペン®)を常に携帯する
万が一アナフィラキシーショックが発症したときのための備えも大切です。アナフィラキシーショックの対症療法としてアドレナリン自己注射薬を使用します。
当院ではエピペン®という薬を処方しております。アナフィラキシーショックを引き起こす可能性のある方にはこれを処方して、自分で携帯していただいています。
ヴィアトリス製薬より引用
ぜひ、検査などもご相談ください。
文責:総合内科専門医 宮内